29才、初めての歯列矯正〜精密検査編〜
最初のカウンセリングみたいなのに行ったのは二年前、ちょうど新型コロナが流行ってた時。マスクしてるうちに矯正しちゃおうかなと思ったけど、どうしても予算の都合がつけられず先延ばしにしてた。今年大幅に昇給したのもあって、再度歯の矯正をやろうと決意した頃にはもうほとんどの人がマスクを外していた。
精密検査したいというのは事前に言ってたので、さっそく歯のCT、レントゲンをひとしきり撮ってもらった。顎関節のずれが心配だから場合によってはMRIを取ることになるらしい。この顎で口が大きく開けられないかつ顔の歪みができてるので、これはもうそういうものやと思ってとりあえず置いとくことにした。この顔にも慣れてるし…
抜かなきゃいけない歯がなんかいっぱいあるらしい。親知らずと列揃えるために要らない歯。それともしかしたらネジを奥の歯茎に打たなきゃいけないらしい。そのあたりは今回の検査結果をみて、次の予約の時に確定させるみたい。痛みで死ぬかもしれん。口の中をぐって広げる器具だけで口の端いててーッ!ちぎれるーッ!となるのに、耐えられるかな。
歯の型取りもした。これが一番しんどかったかも。口の中に異物があると脳が認識した時に、とんでもないえづきが発生した。
「鼻で深く呼吸してくださいね〜」
って歯科衛生士のおねえさんが優しく言ってくれたけど「呼吸ってなんだっけ…どうやるんだっけ!?」と若干パニックだった。1〜2分じっとしていなきゃいけなかったから、これが永遠か…オエッと1億年ボタンの気持ちを味わえた。
料金はざっと見て100万くらいになりそうなんだけど、そのまま進める予定。このクリニックが珍しいかもなんだけど、デンタルローンなんか使わなくても矯正終わるまでに払い終わってくれればいいよ〜(無利子)って言ってくれてる。支払い総額結構でかい金額なのに、こんなゆるくて大丈夫?これから与信とかするんだよね?人間の計画性に絶大な信頼を置いている……
今回の精密検査代 ¥33,000
当たり前のように保険適用外。確定申告することが決定したわね。
次回、検査結果発表編。装置つけるのはそのあと、11月頃になりそう。
この土日、ひとりで楽しく生活をしていた
土日はいつもベッドに横になったまま家から一歩も出ない生活をしている。
でも今回の土日は珍しく充実感あるな〜という気持ちになったので、何をしたのか覚えておいて今後も気持ちよくすごせるようにする。
9月23日(土)
07:00
起床。
朝ご飯は、金曜の夜に買ってたファミマのチキンバーガーとコールスローサラダ。
雨が降っていた。
10:00
近所のパソコン教室でMOS Excel specialist受けに行ってきた。
会社で無料で講座受けさせてくれてたやつで、テキストの他に業務で実際に使ってるファイル見ながら最適化・効率化してくれる講座だった。
一応レッスンみたいなのがあってそれが全部終わったので記念受験。*1
内容はめっちゃ簡単だったので合格できたんだけど、結果発表前に簿記3級二連続不合格の記憶が蘇って少し具合悪くなってた。
試験終わった頃には雨が上がってた。
11:30
イトーヨーカドーで買った冷凍おやきを食べた。野沢菜味。もちもちの生地と野沢菜のしゃきしゃき食感が本当に大好き。そうじゃなくても野沢菜自体が好き。
部屋がめちゃくちゃで気が滅入ってたので撫でるだけの掃除をする。あとは元気な時の自分に任せる。ドレッサーの机上に乱雑に置かれた化粧品たちを、ニトリで買った編みかごに入れた。埃が掃除しやすくなったけど、気分じゃなかったので埃の掃除はしなかった。
13:00
出汁で米を炊いた。塩昆布とごま油と塩胡椒とごまを混ぜて握って海苔巻いておにぎりにした。
かにのほぐし身の缶があったから混ぜたかったんだけど、缶切りがなかった。マイナスドライバーを叩き込めってGoogleには言われたけど、叩き込む力がなかった。断念。
15:00
家の中で余ってたじゃがいもと玉ねぎとキャベツとサラダチキンをぶちこんでポトフにした。
ポトフの中にサラダチキンが入ってるのが珍しくて食べ慣れなかったからか、すこし喉が拒絶してた。ポトフの中に入れてもサラダチキンはサラダチキンの味がした。
解凍したお肉と玉ねぎを市販のプルコギタレに漬け込んでおいた。
16:00〜22:00
昼寝…のはず。どう考えても30分だけ寝よう!ということができない。くたばったように寝た。
23:00
どうしてもお腹が空いたからイトーヨーカドーで買った冷凍おやきを食べた。かぼちゃ味。
ご飯として食べるなら甘い味よりもしょっぱい味が大好きなんだけど、このかぼちゃおやきもすこし醤油の味がしてあまじょっぱかった。美味しかった。
謎ポトフも食べた。こんな夜中に…
食べ終わった後全然眠気が来ない(当然)からツイッターとかはてなとか巡回したり、ピッコマ日付更新分を読んでたりした。
02:00
就寝
仰向けで寝たから悪夢を見たけど思い出せない。
9月24日(日)
07:00
起床。
晴れてたから洗濯物を回してる間に朝食。
朝ご飯は、雑穀米のごはん*2、謎ポトフ、前日に漬けていたお肉と玉ねぎを焼いたやつ。
食べ終わった頃に洗濯機が鳴いたから、洗濯物を干した。
たくさん寝て元気があったので皿洗いをしたし、部屋の掃除をした。
09:00
お茶を淹れて、換気に揺れるカーテンとYouTubeを見ながらだらだらした。
お茶は誕生日にもらった煎茶堂の煎茶*3
指の皮が薄くても熱さを感じずに持てる透明急須、洗いやすいし便利で好きな道具。
容量少なめだけど煎茶をマグカップ並々に淹れて飲むとは思われてないかも。
崩壊スターレイルやったり、原神やったり、YouTube見たり、九齢公主の最終話*4みたりして過ごしてた。
12:00
昼ごはんは前日作ったおにぎりと謎ポトフと朝の肉の残り。
14:30
サボってるジムのボクシングエクササイズクラスへ行った。
もともと近所に住んでる友達がやってみよう!って誘ってくれたクラスなんだけど、友達は都合が悪くて行けないって連絡があった。
その連絡もらってから私もキャンセルの連絡しよかな…やったことないしボクシングとか…なにも殴りたくないよ…と弱気になったので、なるべく何も考えないで時間になったら家を出ることにした。
ジムに行く道でYUKIの「Hello!」をきいてたら元気とやる気が出た。サビが好き。*5
実際にボクササイズ(って言うらしい)始めてみたら楽しかった。
でも運動量が凄まじくて常に運動不足の体にはしんどかった。
プランク状態で足を猛ダッシュさせる動きの時に、水分補給でとった水が胃の中でかき混ぜられて吐きそうになった。
しんど〜ッ!てなってたし誰よりも動けていない自信があったけど、インストラクターのおねえさんは私がどんなにへっぴり腰でへなちょこジャブフックストレートをしても「NICE!」「Very good!」って言ってくれた。
あまり褒めないで、ボクサーになっちゃうから…過去に褒められすぎて図に乗った実績があるから…ありがとう…
一時間くらいのクラスが終わって疲労困憊でふらふら教室を出たら、カウンセリングをドタキャンして音信不通にしてたジムインストラクターのおにいさんに会って「あれ?うみべさん?」って声かけられた。
正直もう覚えてないだろ私のこと!と思ってたので名前を呼ばれてビビったから、サボっちゃって〜へへへと露悪的に言ったら「そういう時もありますって!またジムエリアも来てくださいね〜」って言われた。
私はこの優しい人たちのために一ヶ月一万円を払って月に二、三回だけこのジムに来ています。
15:00〜17:00
ジムのお風呂を使わない私は即帰宅してお風呂掃除。多少しんどい思いをしても一生懸命家に帰り、普段使ってるシャンプーや道具、スキンケアですっきりしたいからね。
お風呂溜めて、疲労回復の入浴剤入れて、運動後に飲むらしいプロテインとスマホを持ち込んで、あとはもう浴室内でだらだら。お風呂入ってる時にいつも流すのはApple Musicのプレイリスト「ピアノ・チル」
ちなみに機嫌がいい時の夜もピアノ・チルを流している。私は毎週ラインナップが変わるのを楽しみにしている。
お風呂あがってボディークリーム塗る時間の適切なタイミングを見つけられていない私みたいな人は、ビオレのインバスボディークリームでさくっと済まそう。
お風呂で使う うるおいミルク | ボディケアシリーズ | ビオレu | 花王株式会社
なんかHP見ると子ども用らしいっていま気づいたよ。でもこれ冬でも一日中潤ってるから優秀。
大人はこっちらしい。いろんな香りあって選べるのいいね。私は香りが混ざるので無香料にすると思う。上のやつのストックがなくなったらこれ試してみよ〜
提供でもなんでもないんだけど、この便利ボディーソープを知らずに迎える冬はさぞかし寒かろうて…という親切心を押し付けていきます。
18:00
食材の買い物。山ほど買って、ひたすら切って、冷凍。
週末にお弁当とかその週に食べるものを作っておく人々、えらすぎる。
食材を切っただけで疲れた。あとは明日からの自分が献立とか考えながらなんか作ってくれると思う。
私はお風呂入った後に外出することになにも抵抗がない。
むしろ今の時期はすっかり日が落ちて涼しくなって、お風呂上がりの熱った体を程よく冷ましてくれる。やっぱりちょっとのぼせてたかも。
19:30
夜ごはん。カップ麺とおにぎりと蒸したさつまいものかけらと、きゅうりとだいこんと白菜の浅漬け。
多分ボクササイズで減った分のカロリー、これでチャラね。貸しは作らない。だから私は痩せない。最近ご飯が美味しくて仕方ない。*6
21:00〜
これ書いてる。
書き終わったらスタレやって原神やって、時間あったら本を読むけど多分読まない。
23時までには寝ようと思ってるけど、22時ごろにはもう眠くなってる。月〜金の夜は仕事で疲れてるのか家でやることがないのか、22時前には寝てることが多い。小学生?*7
友達と会わずひとりでいたし、欲のまま惰眠を貪りもしたけど、土日の両方に地味に予定があって、それが徒歩圏内で済んだからストレスがほとんどなかったのかな。
来週の土日もこんな感じで気分良く過ごせるといいな。
*2:炊きあがったのを冷ましてたら忘れて出勤してしまい、そのまま一日中ほったらかしにされてたかわいそうなお米。だからこんなにかちかち。態度を硬化させている。
*3:賞味期限や消費期限が切れていたけど飲みたい欲に負けてしまった。美味しかった。
*4:最終話なのに「主人公たちカップルは幸せに暮らしました!」が無く、新皇帝即位のシーンで終わってしまった。いや、確かに問題解決したし幸せに暮らしたんだろうなと想像はできるけど、二人のその後のカットみたいなのほしかった、欲張りかな…
*5:「世界中をひとっ飛び」の部分のメロディが大好き。少し切なさがあるのはコードのせいですか?音楽理論無知
*6:減量している人間の食事量ではないのだが、これより前は一日二食しか食べずにベッドに寝っ転がっていたのだから、健康になってきていると思えばこっちの方がいいのかもしれない
*7:上司は受験生の息子(11)がいて、私(29)は彼よりも早い時間に眠るらしい
積んでる23.09
去年2022年8月からの積読をどのくらい消化したのか確認。
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」→読み切るのを諦めた
三島由紀夫「夏子の冒険」→読んだ
小川洋子「寡黙な死骸 みだらな弔い」→読んだ
申京淑「母をお願い」→読んだ
皆川博子「薔薇忌」→読み切るのを諦めた
諦めたと書いたけど、読むタイミングが今じゃなかったと思わざるを得ないくらい、内容がまったく頭に入ってこなかった本が2冊。
私の小さな本棚のスペースを占有している限り、またいつか読むだろうと思う。
わたしは積読を、本を少しも読まずに置いていることだと認識している。読み切れなかった本のことをなんというんだろう。「未完了本」?「未了読本」?「本棚養分本」?
なんかそういう区分にしておいて、積読の区分からは外しておこうかな。
上記に追加して、新しく読んだ本も確認。
野村日魚子「百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た」
筒井康隆「着想の技術」
彩瀬まる「朝が来るまでそばにいる」
彩瀬まる「あの人は蜘蛛を潰せない」
彩瀬まる「花に埋もれる」
春から梅雨にかけて彩瀬まるブームが来たから、湿度の高い感情を彩瀬まると一緒にくすぶらせていた。
彩瀬まるを読むと、傷を負っても鈍感なふりをして生きて来られるのが上手な生き方だと思っていたのに、その傷、実は痛かったんだよと指摘されながらぐいぐいと広げられて、あの時本当に傷ついたんだとひとつひとつ膿を出されるみたいな感覚になる。
膿を出す時にも痛みが伴うから、自分を大事にできなかった鈍さへの罰を受けている気になるんだけど、ほじくるだけほじくってポイ!じゃなくて、ちゃんと寄り添ってくれるような気がする。
次からは傷つきの鮮度が高い状態で、思いっきり傷つきましたの宣言をしてみようかなって思える。
まだまだたくさん、彩瀬まるを読みたい。
個別の読書メモは元気がある時に書く。
現時点での積読は以下。
ジュリアン・ジェインズ「神々の沈黙─意識の誕生と文明の興亡」
彩瀬まる「森があふれる」
児玉雨子「##name##」
安部公房「水中都市・デンドロカカリヤ」
チョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」
東野圭吾「秘密」
早瀬耕「彼女の知らない空」
小坂流加「余命10年」
上から読み始めたい順番に並べている。
名前変換小説に育てられたと言っても過言ではないのではやく児玉雨子を読みたいんだけど、名前変換小説のことがどう書かれているのかという怯えのせいでなかなか手が伸びない。
でもこのために初めて文藝を買った。重かった。
下の3冊は、数年前のわたしの誕生日に7つ離れた弟が彼の価値観で面白そうと思った本を贈ってくれた本たち。確かにわたしがなかなか手を伸ばさないだろうなというラインナップ。
本棚をひっくり返していたら出てきたので積読リストに追加と相成った。
6月分の雨が一日で降った日、今までになくご機嫌だった
その数日前から、大雨になりますよとニュースで言っていた。
雨が降る日は会社に行く道程のことを考えるだけで嫌になり、会社のことまで嫌いそうになる。
わたしは雨も会社も嫌いじゃないけど、満員電車が嫌いなので、遭遇した日には一日中気分があまり良くない。
なるべくなにも恨まず、憎まずにいたい。
慈愛的な意味ではなく、そんなことに感情のリソースを割きたくなかった。わたしは良くも悪くも人の正負の感情に影響されやすい性質があるようだから。
でも振り返ってみるとあの日、晴れている日よりもずっとご機嫌だったなと思ったので、なにが原因か思い返した。
◎1時間はやく家を出た
雨で電車を使う人が増える。電車が混む。定刻よりも大幅に遅れる。
普段から身動きが取れないほどの満員電車になる路線ではないため、人間と密着して接触することに慣れていない。きっと人が持つずぶ濡れの傘が足に当たって湿るだろうし、生乾きの匂いと知らない人からの近距離の吐息がかかるだろう。それを避けるために、1時間はやく家を出た。
空いても混んでもない電車に乗る。多少ダイヤが乱れても始業時間に間に合うかなとそわそわイライラすることもない。
時間に余裕があるということは心にも余裕を作ってあげられるということなんだと気付いた。
はやく職場に着いてやる気があると思われたら嫌だったから、
始業時間までタリーズのあったかいチャイティー*1を飲みながらだらだらしていた。
◎雨靴だった
雨靴を買ってから5年くらい同じものを使っている。
足先が濡れてぐちゃぐちゃ言う不快感を、この5年間味わっていない。
足首まで覆うショートブーツ型は、リラックマの茶色い靴下を履いても周りから見えないから大丈夫。*2
家に帰る時までかわいいリラックマは濡れなかった。
◎金曜日だった
日暮れが近づくにつれて雨脚が強まっていったあの日、わたしは仕事の手を何度も止めて、窓を打つ雨粒を眺めた。
帰り道でどんなに雨風に揺さぶられたとしても、わたしはもう家に帰るだけだったから呑気だった。夜の予定どころか週末の予定もなかった。
ざあざあと勢いよく降る雨が気持ちよかった。
テンション的には、洗車する時に水やら泡を窓越しにぶっかけられて、でもわたしは濡れない!すごい!みたいな気持ち*3だった。
退社時間が近づく頃、運転見合わせは京葉線しかなかったから、弊社は早上がりとかは特になかった。
その日が金曜日で、わたしがご機嫌だったから、弊社は命拾いをしたんじゃないかな。
一度、精神的に危険なところまで追い詰められた事のある人にとっては、求めるものは心の平静であり、それ以外の事は大して重要ではないという心境になるものだ。
— Makoto Iijima 6/12個展銀座 (@makokujira) 2023年6月2日
その時点から物事の価値が根本から変わり、世界の色が変わる。
常に現状維持ばっかりでなにかを良くしていこうという気持ちが少なめなんだけど、このツイートを見て、ちょっとだけ思い当たることがあるような気がした。
荒天を前にしたあの日のわたしは、普段よりもずっと強い気持ちで心の平静を保とうとしたのかもしれなかった。
*1:この週の日曜日、チャイ飲みたさに中目黒のチャイ屋を2件はしごしてホットマサラチャイを飲み比べるくらいには、今はチャイが好きな時期
*2:職場で靴を履き替えるから、上品なパンプスの足の甲にはリラックマの顔が露出した。ビジネスシーンには向かなかったかも。でも誰もわたしを注意しない。リラックマかわいいねーで終わる。よかった!
*3:わたしはいつも窓が少しでも空いていたらどうなっちゃうんだろうと分かり切った想像をする。幼いころ、マンションにある火災時に鳴らす「強く押す」と書かれた非常用ベルのボタンも、押したらどうなっちゃうんだろうと想像して「強く押す」をしたことがある。鳴り響く非常ベルはわたしの体を固くしたし、すっ飛んできた親にはわたしじゃない…と誤魔化した。大人になって聞いたら、わたしが押したのだとわたしの表情で丸わかりだったけど、あまりに縮み上がっていてかわいそうだったから叱れなかった、とのこと。叱られなかったことを良いことにわたしはこの件をバレていないと長年思っていた。
ベース練習日記-一念発起〜失意編
私は高校生の時からベースをやりたかった。
学生までは時間はあったけどお金がなかったし、社会人になってからはお金はあるけど時間がなかった。
どんな曲を聴いてもベースばかり追いかけて、右手の人差し指と中指でリズムを模倣する遊びを10年やって気を紛らわせていた。
そうやって誤魔化してきた"ベースやりたい欲"が、ある曲を聴いた途端にとうとう我慢できなくなってしまった。
天野月子「人形」
大学生の頃、知り合いのセッションに参加して、シンセサイザーでコピーをした、思い出深い曲だった。急に懐かしくなって一度聴いた途端、もうなにがなんでもベースをやらなければならない気持ちが湧いて出た。
この曲の、このベースを弾きたい!という欲はついに私を駆り立て、10年間ぐだぐだと理由をつけてやらなかったベースを始めることにした。
手始めに、ベースを教えてくれるという音楽教室の体験に行った。
素直に天野月子の人形を弾きたいです、と言ったら、Aメロの最初のフレーズを教えてくれた。(後日自分で耳コピをしたら教えてもらったコードと違っていて、後述する私の傲慢さに拍車がかかることになる)
私は小学生までピアノを習ったり、高校生の時はギターをやったり、17才から21才くらいまで、社会人バンドでシンセサイザーをやったりして遊んでいたことがある。
その経歴を聞いた講師先生殿は、私が弦をべ〜んと鳴らすだけで「goooood!」とELTの先生のように褒めてくれた。「やはり楽器やってた人は飲み込みが早いですよ!」と言う彼の言葉を鵜呑みにした私は天狗になり、じゃあ別にわざわざ習わなくても私なら独学でいけるな…と判断して体験時即入校キャンペーンを粛々と断った。やる気に満ちていたけど、毎月20,000円近いお月謝を出すことをまだ渋っていたのだった。
そして、自分が後戻りできないようにベースをやりますとツイッターで宣言したら、8年くらい付き合いのあるフォロワーがベースを譲ってくれることになった。はるばる京都から東京に2,950円でやってきたそのベースは、碧色のような縹色のようなきれいな色をしていた。
楽器に名前をつける派閥の私は「洛藍藻 孔雀明王(らくらんそう くじゃくみょうおう)」と命名した。厨二病がまだ抜けていないのだ。
ベースが届いたならそのメンテナンスをしなければなるまい。実にやる気がある私は、洛藍藻の掃除と弦の張替えを自力でやることを決め、早速楽器屋に行った。
山野楽器もヤマハもある銀座に赴いたが、高級な街には高級な人間が高級な楽器を弾くのか、主にクラシックの系統に明るい店だった。バンドをやる人間は銀座よりも御茶ノ水に行くことを忘れていた私は、ヤマハのお兄さんに一通りベースの弦の張り方やメンテナンスについて聞いて、880円のボディクリーナーとなんか一番定番って言われたダダリオの弦だけ買った。「もし上手く弦を張れなかったら代わりに張るから持ってきてください」と兄さんが言ってくれた。もちろん初めから自分でやるつもりだったけど、もし万が一ダメだった場合の保険ができて安心感が生まれた。やさしいお兄さんだった。
次は私が大好きな島村楽器に行こうとしたけれど、銀座には店舗がなく、錦糸町に向かった。本当は銀座で全て揃えるはずだったが、計画性がない。
島村楽器ではギタースタンド、VOXのイヤホンアンプ、フレットバター(フレットを掃除するやつ)を買った。
次に100均で、有線のイヤホンとそれを変換する端子を2個くらい買った。というのも、私が使用するiPhone7にはイヤホン端子が無い。イヤホン端子→Lightningが一番良かったけど100均には無いようだった。無知な私はイヤホン端子→USB Type-C→Lightningにする変換コードを買ったのだ。家に帰ったら案の定なーんにも反応しない。仕方ないからiPhoneで耳コピするんじゃなく、めちゃくちゃ古いiPadを使用することにした。
さらに弦を切る用のニッパーを買ったと思ったらラジオペンチだった。ベースの一番太い弦を切ろうとしただけでラジオペンチは刃こぼれした。無知の極みだった。
この日の私の買い物は、合計12,772円。洛藍藻の着払い料金と合わせて15,722円。
ベースを弾く環境に持っていくまでの総額が15,722円はあまりにも安い。やはりベースを購入していないということが大きいと思う。洛藍藻を譲ってくれたフォロワーに足を向けて眠れなくなった。
翌日、私はわくわくしながら洛藍藻の弦を外し、ボディを掃除した。ネックにフレットバターを塗り、ひたすら激しく擦った。黒い汚れがもう出てこないくらいにやらなきゃいけないらしく、30分くらい私はフレットをティッシュでこそぎ落としていた。早くも後悔の念が込み上げてきそうだったが、今回だけやればしばらくやらなくて済むようにと綿棒など使ってフレットの隙間までもを擦りまくった。
疲労困憊している体に鞭打ち、ラジオペンチの刃こぼれと戦いながら、無事弦を張り替えた時の達成感たるや。
あとはもうチューニングして早速天野月子の人形をコピーして遊ぶだけだ!と意気込んでいた。
しかしいざ耳コピしようとしても、ベースのどこを鳴らしたらどの音が出るのか分からない。そのため、私は全部の音をいったん出して、コードに合う音を探し当てるという戦車戦術を余儀なくされた。分かったのは、体験教室の講師先生殿が教えてくれたコードは違うということだけ。
さらに、私はどうやら変な癖がついてるようだった。右手の人差し指から弦を弾かなきゃいけないらしいが、どうしても中指から動いてしまう。さらに弦の移動をする時に同じ指で2回弾いてしまう。これは、いつかベースをやった時のために備えていた右手の人差し指と中指でリズムを取るアレが邪魔をしていた。少し絶望した。
左手の指は弦を押さえて音を鳴らした途端にピーン!とフレットから離れていくし、小指にそもそも力がなくてへにょょょ〜んという曖昧で間抜けな音が出る。クロマチックというひとつずつ確実に音を出す練習をし始めたが、要改善点が多いだろうと思いつつ正しさも間違いも分からない状態だ。
私は早くも、体験教室の入校を断ったことを後悔し始めようとしている。
次回は銀座のベースレッスン体験に行き尽くす編にしたい。
積んでる22.08
私はまだ読んでいない本を、本棚にしまわない。最近買った、1Kには大きすぎるダイニングテーブルの上に積んでいる。なまじスペースがあるから、そこが積読本たちの定位置になった。
読まずに置いてある本を見ると、読まなければとプレッシャーを感じてしまう。その性格を慰めるため、積読本を数える。
ちなみにツイッターで「積読」と検索するとみなさんたくさん積んでいる。
私はたったの五冊だった。
この五冊だけが、心の一部を占拠して、読んでくれと沈黙している。
読みます。読みますから。一列に並んでください。
短編集で、表題以外は全部読んだ。むしろ銀河鉄道の夜だけがどうしても読み進められない。
読点が少なくて読みづらく、えんぴつで斜線を引きながら読んでいる。読みやすくするための作業が逆に読むハードルを上げている。でもえんぴつが手放せない。
○三島由紀夫「夏子の冒険」
上記の銀河鉄道の夜と一緒に買ってきた。銀河鉄道の夜を読んでから読もうと思っているが、いつまでも読み終わらないため夏子の冒険も読み始められない。
開いてすらいない、由緒正しい積読。
○小川洋子「寡黙な死骸 みだらな弔い」
短編集。順番に四作目まで読んだ。
通勤中に読む本にしていた。基本的に小川洋子の話は最後まで読んで、次の話を読むまでしばらく時間をおくことがある。
いま開いたら話の途中で止まっているから、電車を降りてそのまま読むのを忘れていた。それは拷問に関する話だったため、その日の始まりに読んだ私の心情がどうだったか思い出せない。
○申京淑「母をお願い」
会社の同僚から借りた本。「年内までで良いから、ゆっくり読んでください」の言葉に甘えて少しも開いていない。
本の外観は読み込んだようなあじがあった。貸してくれた彼女はこの本で泣いたと言った。心を元気にしてから読むことにした。
○皆川博子「薔薇忌」
短編集。順番に三作目まで読んだ。
kindleで読んでいたことをすっかり忘れていた。目に見えないから、積んでいる自覚もなかった。
しばらくkindle Paperwhite自体もさわっていなかったのに、まだ充電がたっぷりあった。バッテリーが劣化するほどまで使用していなかったことに気づいた。
▽まとめ
・短編集は一冊だけ買いなさい
複数の話が収録されている短編集で、作風を知りたかった。でもキリが良すぎるから本全体を読み終わらない。数作読んで、好みかそうでないかを判断して、そのあと開かない。
短編集の積読は一冊だけにする。
・kindle Paperwhiteを使いなさい
読みたい本がkindleに無い時に本屋で買う。手元に残しておきたいだろうと思ったら本屋で買う。でも六畳もない部屋に、二度開かない本の居場所は無い。
基本はkindleにして、読み終わった後でも現物が欲しくなったら、本屋で買う。
・元気になりなさい
良くも悪くも小説しか読まないため、物語にのまれて疲れる。仕事ばかりしないで、有給でもとって本を読む日を設ける。次の日も休みになるように、有給は金曜日とかにして。